中小企業が必ず押さえておくべき基本と注意点
36協定書とは【時間外労働・残業を行うために必須の手続き】
ご相談をお受けしていると、現在でも
36協定書を作成していない、
作成はしているが労働基準監督署に提出していない
という中小企業様・事業主様が少なくありません。
36協定(正式名称:時間外・休日労働に関する労使協定)は、
従業員に残業や休日労働をさせる場合に、必ず必要となる法定手続きです。
よくある誤解・勘違い
以下のようなご相談は非常に多く見られます。
- 月45時間以内の残業しかないので36協定は不要だと思っていた
- 固定残業代を支払っているので問題ないと思っていた
- フレックスタイム制なので労働時間管理はしていない
しかし、これらはいずれも労働基準法違反につながる可能性が高い誤解です。
36協定がない場合は1分の残業でも違法です
法律上、1分でも時間外労働が発生すれば違法状態となります。
36協定を締結・届出していないまま残業をさせた場合、
その時点で罰則の対象となります。
行政も、突発的なトラブルや急な受注対応があること自体は理解しています。
そのため、
36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出た範囲内の時間外労働については、罰則を科さない
という仕組みが設けられています。
※重要なのは、
「残業しても違法ではない」という意味ではなく、「罰則を科さない(免罰的効果)」という点です。
36協定書の有効期間【毎年提出が必要です】
36協定書は、毎年1回、労働基準監督署へ提出する必要があります。
有効期間は最長でも1年間です。
有効期間の決め分け方
有効期間の起算日は、会社ごとに自由に設定できます。
- 4月1日から翌年3月31日まで
- 給与締日に合わせて4月16日から翌年4月15日まで
など、実務に合わせた設定が可能です。
提出日と有効日の注意点
36協定は、労働基準監督署へ提出した日以降でなければ効力が発生しません。
たとえば、
- 4月1日発効の協定書を作成
- 提出日が4月2日
この場合、4月1日の残業は協定なしの違法残業となります。
そのため、余裕をもって作成・提出することが重要です。
起算日【時間外労働時間を計算する基準】
36協定書では、
- いつから
- どの期間単位で
時間外労働をカウントするのかを明確にします。
具体的には、
- 令和○年○月○日を起算日として
- 1日・1か月・1年単位で算定
と記載します。
起算日が曖昧だと、上限超過に気づかず違法残業となるリスクが高まります。
時間外労働となる理由【形式的な記載はNG】
36協定書には、
時間外労働をさせなければならない理由を記載する必要があります。
時間外労働は「例外的なもの」
前提として、
週40時間・1日8時間を超える労働は、36協定があっても違法です。
36協定は、
やむを得ない特定の理由がある場合に限り、罰則を免除する制度です。
記載が認められやすい理由の例
- 月次・年次決算業務
- 繁忙期の受注集中
- 納期が限定された業務
- 季節的要因による業務増加
行政も中小企業の実情は理解していますので、
実態に即した理由を正直に記載することが重要です。
対象業務・人数の記載方法
- 業務内容:経理、営業、製造などで問題ありません
- 人数:時間外労働が1分でも発生する可能性のある人数を正確に記載
実態より少なく記載することは、重大なリスクとなります。
時間外労働の上限時間【36協定の核心部分】
1日あたりの時間外労働
所定労働時間(7時間・8時間など)を記載し、
想定される残業時間よりもやや余裕を持った時間を設定します。
たとえば、
- 実態:2時間程度
- 記載:3~4時間
が一般的です。
1か月あたりの上限時間
特別条項なしの場合、
1か月の時間外労働は最大45時間までです。
これを超える時間を記載することはできません。
1年あたりの上限時間
特別条項なしの場合、
年間360時間が上限です。
月平均にすると30時間となるため、
繁忙月がある場合は、他の月で残業を抑える運用が必要です。
36協定を提出していない場合のリスク【要注意】
36協定を未提出・未締結のまま残業をさせている場合、
- 労働基準法違反による是正勧告
- 罰金・書類送検の可能性
- 労災・メンタル不調発生時の企業責任拡大
- 採用・定着への悪影響
など、経営リスクが一気に高まります。
「残業は少ないから大丈夫」と思っている企業ほど、
指摘を受けるケースが多いため注意が必要です。
よくある質問(Q&A)
Q1.固定残業代を払っていれば36協定は不要ですか?
A.不要ではありません。固定残業代制度を採用していても、36協定の締結・届出は必須です。
Q2.残業がほとんどない会社でも必要ですか?
A.1分でも時間外労働が発生する可能性があれば必要です。
Q3.フレックスタイム制でも36協定は必要ですか?
A.法定労働時間を超える労働があれば必要です。
Q4.毎年内容を変えなければいけませんか?
A.内容が同じでも、毎年の提出は必須です。
残業削減・助成金活用まで含めたサポートも可能です
時間外労働の削減に取り組む場合、
- 人員配置の見直し
- 業務フローの改善
- システム導入
など、一定のコストがかかることも事実です。
そのため厚生労働省では、
働き方改革・残業削減に取り組む企業向けの助成金制度を用意しています。
当事務所では、
- 36協定の作成・見直し
- 残業時間削減の実務支援
- 助成金の活用アドバイス
まで、中小企業様の実情に合わせたトータルサポートを行っています。
36協定の作成・見直しでお困りの方へ
- これで正しく提出できているか不安
- 毎年何となく前年踏襲している
- 残業時間が増えてきている
このようなお悩みがありましたら、
ぜひ一度、社会保険労務士にご相談ください。

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